若手教員が抱えがちな「授業準備の沼」から抜け出す時間管理術

働き方改革 2026.03.09 著者: 古井 雅也

なぜ「1コマの授業」に何時間もかけてしまうのか?

「学生に分かりやすい授業をしたい」という熱意がある若手教員ほど、PowerPointのフォントサイズやアニメーション、イラストの配置に何時間もこだわり、「授業前夜はいつも徹夜に近い」という状況に陥りがちです。
しかし、教員の仕事は授業だけではありません。実習調整、国試対策、学生対応を並行して行うため、「完璧主義による授業準備の沼」は、教員をバーンアウト(燃え尽き症候群)させる最大の原因になります。

沼から抜け出すための戦略的アプローチ

1. パーキンソンの法則と「タイムボックス化」

「仕事の量は、完成のために与えられた時間を満たすまで膨張する」という法則があります(パーキンソンの法則)。終わりを決めずに準備を始めると、際限なく時間がかかります。

解決策は「明日の90分の授業準備は、絶対に60分で終わらせる」とアラームをかけてしまうこと(タイムボックス化)です。アラームが鳴った時点で「60点の出来」であっても、一旦パソコンを閉じます。「何がなんでも終わらせる」プレッシャーが、無駄な装飾作業を省きます。

2. 「見た目」より「コアメッセージ」の抽出

学生の記憶に残るのは、綺麗なアニメーションではなく「結局、今日の授業で一番大事なことは何だったか(コアメッセージ)」です。
スライドを作り始める前に、紙とペンを用意し、「今日学生に持ち帰らせたい3つの要点」を書き出します。スライド作りは、その後で「その要点を補足するため」だけに最低限の労力で行います。

3. 過去への「リスペクト」と「リサイクル」

「全部ゼロから自分のオリジナル教材を作らなければいけない」という強迫観念を捨てましょう。
前任者や先輩教員が作った過去のシラバスやスライドは、学校の「資産」です。「ここを修正すればもっと良くなる」というベース(土台)がある状態で始めることで、ゼロから構成を考える時間をショートカットできます。
そのためにも、記事「社内Wikiの構築法」で紹介したように、学校全体で教材データを共有・蓄積する仕組みが不可欠になります。

無理なく教員を続けられる環境を

熱意ある教員が、疲弊して学校を去ってしまうことは、学校にとっても学生にとっても最大の損失です。
Logic Pulleyでは、クラウドツールを用いた「教員間のデータ共有基盤の構築」や、ChatGPTを活用した「テスト問題・課題の半自動作成」など、授業準備の負担を根本から減らす仕組み作りをサポートします。